薬膳食養生“五味と五性”は食材のもつ働きを健康に生かす漢方養生法

私たちが食べる食材には、それぞれの特徴があり、体への作用が異なります。

西洋医学では栄養素を分析され、自分にあったものを探す作業になりますが、漢方では食材を5つの味に「五味ごみ」と、5つの性質である「五性ごせい」に分けて自分の体質や症状に合わせて調理します。

食材に含まれる栄養素と、「五味」「五性」を考え合せて、日々の食卓に取り入れる食養生について綴っています。

食材のもつ働きを健康に生かす漢方養生法

寒い時、ピリッとした辛いモノを食べると体がポカポカしているような経験は、誰もがあると思います。

ピピっとした味がする辛い味の食材に、「気」や「血」の巡りをよくする血行促進作用があるからで、私たちは自然に食べたいものがあり、それは体が求めているものでもあります。

そして、それは旬の食材に多く含まれていて、その季節にふさわしい性質を持っています。

暑い夏は、体の熱を取って体を冷やし、寒い冬は体を温めるものが多いのです。

基本、薬膳では「旬のモノ」を食べることが健康を保つと考えられています。

しかし、現代は夏でも涼しい部屋にいることが多く、外界との温度差がありすぎることで体調不良になったりすることから、食事に気を付けなければ、健康を維持するのが難しい時代になっています。

難しいと言われる漢方や薬膳の特別な材料でつくる食事ではなく、自然に寄り添う気持ちで、旬のものを取り入れて健康維持をしていかれることが理想ですし、薬膳に使われているものは、決して特別なものだけではありません。

レーズンやクコの実・みかんの皮を乾燥させている陳皮など、身近な食材を取り入れるだけでも、薬膳です。

そして、日本人の体に合った和食と合わせた、「和漢膳」は知らず知らずのうちに皆さんは食事に取り入れていると思います。

その食事を、もっと体にあったメニューに…。

そのためにも、自分の体質を知り「五味」「五性」を利用することで、食事が作りやすくなります。

薬膳食養生“五味”とは

五味は食材の味を「五行」に基づいて五種類に分類したものです。

五行については前頁にて詳しく記事にしています。

単純に舌で感じた味だけで分けているのではなく、その味がもつ特性の作用があって、体の五臓と関連があるので、不調を感じると自然に欲しくなる味と考えられています。

五臓とは…関連記事を合わせてお読みいただきますと、お役に立てると思います。

五味は「酸味さんみ」「苦味くみ」「甘味かんみ」「辛味しんみ」「鹹味かんみ(塩味)」の5つに分類されています。

それぞれの味には特有の作用があり、五臓と関連して、不調があると欲しくなる味を考えられています。

  • 酸味…酸っぱい味:五臓は肝
    収れん作用があり、筋肉を引き締めて、汗や尿などの出すぎを止める。下痢や頻尿・多汗不正出血などに有効
    食材:レモン・いちご・あんず・ざくろ・トマト・グレープフルーツ・梅・りんご・みかん・酢・ヨーグルト など
  • 苦味…苦い味:五臓は心
    解毒作用や清熱作用があって、体内の余計なものを体外に出し、乾かす働きがある。発熱・便秘に有効
    食材:レバー・きゅうり・パセリ・レタス・セロリ・ゴーヤ・ピーマン・ごぼう・緑茶・菊花 など
  • 甘味…甘い味:五臓は脾
    緩和作用や補益作用があり、体の緊張をほぐし滋養強壮に役立つ。胃痛などの痛みを止める効果
    食材:肉類・山芋・なつめ・はちみつ・大豆・しめじ・しいたけ・ほうれん草・かぼちゃ・にんじん・とうもろこし・きゃべつ・白菜・イモ類・玄米・バナナ など
  • 辛味…辛い味:五臓は肺
    発散作用があり、流れをよくして、気や血の滞りを改善する。体を温め風邪に有効
    食材:長ネギ・玉ねぎ・青しそ・にら・バジル・みょうが・にんにく・わさび・とうがらし・こしょう・しょうが・シナモン など
  • 鹹味…塩の味:五臓は腎
    かたいモノを柔らかくする作用があり、体を潤す。便秘やしこりをほぐす作用
    食材:塩・のり・わかめ・昆布・あさり・あわび・いか・かに・くらげ・しじみ・あさり・味噌

薬膳食養生“五性”とは

五味は食材のもつ体を温めたり冷やしたりする働きを、五種類に分類したものです。

暑い時は体を冷やす働きのあるものを食べるというように、その時の体調や季節によって、食材に含まれる特性を生かして食べるようにします。

五性は「寒性かんせい」「涼性りょうせい」「平性へいせい」「温性おんせい」「熱性ねつせい」の5段階に分類されています。

  • 寒性…体を冷やして、鎮静・消炎作用がある
    たけのこ・れんこん・スイカ・もやし・バナナ・ゴーヤー・あさり・かに・海藻類 など
  • 涼性…寒よりも穏やかに体を冷やす
    きゅうり・セロリ・トマト・なす・大根・みかん・とうふ・緑茶・梨・あわ・大麦 など
  • 平性…寒涼・温熱のどちらにも偏らないで、常しょくずる食材
    米・にんじん・キャベツ・春菊・ぶどう・しいたけ・豚肉・豆類・イモ類 など
  • 温性…熱より穏やかに体を温める
    かぼちゃ・ねぎ・しょうが・えび・鮭・鶏肉・栗・桃・紅茶・なつめ など
  • 熱性…体を温め、興奮作用がある
    シナモン・こしょう・とうがらし 日本酒など

食材がどの性質なのか調べて食べるのは面倒くさいと感じるかもしれません。

そんな時、「旬の食材」を食べることで、その季節にふさわしい性質を持っているものが多いので、考えやすいと思います。

夏野菜は体を冷やしてくれるものが多く、冬野菜は体を温める野菜が多いので、「旬のモノを食べるようにする」と言われているのは、季節に沿った野菜の性質が体が求めているもので、体を健康に保つと考えられているからです。

旬の食材を基本に体質に合った食べ物で、元気に過ごしていきましょう!

体のバランスを調整して、不調が出始めたら早めに対処して改善していく習慣が大切です。

薬膳の食養生は、コツコツ継続することで効果があるので、決して無理をしないようにしましょう。

あなたの体質をチェックシートで確認して、改善策を見つけましょう。

 

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DNAによる体質をいかした食事を心がけて…♪

 

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【「和漢膳料理研究家」女子栄養大学にて食生活指導士・漢方養生士・中医薬膳士・防災士・ペット食育士】 生涯学習コーディネーターとして、学校支援地域本部事業や成人の学習支援に参加し、生涯学習の振興発展に寄与することを目的とする自治体に登録し、公共地域の活動に参加しています。講演内容は、子どもの食育・成人の療養食・防災食・動物の「食」について、企業相談や地方講演を行っています。

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“漢方養生士・中医薬膳師・女子栄養大学食生活指導士”として「薬膳・ローフード・スローフードの健康的な食事」
“LOHASライフスタイリスト”として「ロハスな生活」
“愛玩動物飼養管理士&ペット食育士”
として「犬・猫・うさぎの食事」
“保育士”
として「子供の悩み相談」
“AFP(アフィリエイテッド・ファイナンシャル・プランナー)”として、企業コンプライアンス・ライフプラン・金融、保険など6つの専門分野など、企業相談や地方講演と地域の活動を行っています。

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