野菜のファイトケミカル8つの効果(2)生活習慣病予防と改善

前ページでは、野菜のファイトケミカル8つの効果の「抗酸化作用・免疫力・デトックス」の3つを紹介しました。

今回は、野菜のファイトケミカル8つの効果の5つの紹介です。

ファイトケミカルの効果4:がん抑制作用

遺伝子に傷をつける活性酸素を消去して、がんの発生自体を防ぐとともに、体内に発生したがん細胞の増殖を抑えたり、攻撃する力があるから。多角的にがんの抑制をサポートしてくれるので、ファイトケミカルはがん予防に非常に有効です。

これまでの研究では、大腸がんにはにんにく・乳がんは大豆食品・食道・胃がんの抑制にはブロッコリーやキャベツ・前立腺がんは大豆食品とトマトが有効であることが明らかになっています。

このように、ファイトケミカルはがん細胞の発生や増殖を阻止し、直接攻撃するパワーの持ち主です。

前ページでも紹介していますが、がんの抑制という角度で、その4つの作用を紹介します。

1.ファイトケミカルの強力な抗酸化力

ファイトケミカルのがん抑制作用の1つ目は、前ページで紹介した「強力な抗酸化力」です。

遺伝子を傷つけ、がんの原因となる活性酸素を無毒化することでがんの発生を防ぎます。

とくに活性酸素が強く、発がんの原因になるヒドロキシルラジカルは、人間の自力では無毒化できず、無毒化できるのはファイトケミカルだけです。

抗酸化力で遺伝子を守り発がんを防ぐ野菜…たまねぎ・トマト・にら・にんじん・みかん など

2.ファイトケミカルのデトックス作用

発がん前駆物質の体内に取り込まれた有害物質は、そのまま放置すれば発がんの原因になります。

ファイトケミカルは発がん物質を無毒化するデトックス作用で発がんを防ぎます。

おすすめはブロッコリーやブロッコリースプラウトのスルフォラファン!

ほかに、セロリに含まれるセダノライドや、にんにくやキャベツに含まれるファイトケミカル有効です。

デトックス作用で発がん物質を無毒化する野菜…セロリ・ブロッコリー・ブロッコリースプラウト・キャベツ・大根・にんにく・アスパラガス など

3.ファイトケミカルの免疫力アップ作用

がん細胞に負けない体を作ることは、免疫力を高める働きをアップさせることです。

にんにくに含まれるアリシンは、がんの芽を手当たり次第に攻撃するNK細胞を活性化します。

きのこ類のβ-グルカンはNK細胞とT細胞を、生姜のジンゲロールは白血球を増やしてがん細胞への攻撃力を高めます。

がんを攻撃する免疫細胞を増強する野菜…生姜 にんにく きのこ類 など

4ファイトケミカルの.がんを直接抑制する作用

がん細胞の増殖を抑えたり、がん細胞自体にアポトーシス(自殺死)を起こさせる作用がファイトケミカルにはあります。

  • ケルセチン…増殖を抑えるのは大豆のイソフラボンやたまねぎ など
  • リコペン…トマト など
  • イソチオシアネート…白菜やキャベツ など(アポトーシスを誘導する)
  • アリシン…にんにく など

がんを直接抑制し、増殖を抑える野菜…大豆・たまねぎ・トマト・にんにく・白菜・キャベツ など

ファイトケミカルの効果5:血液サラサラ作用

血管は、生きるために必要な血液や酸素を全身に送り届ける重要な役目があり、血管の健康なくして、健康長寿などありえません。

しなやかで丈夫な血管をつくり、若々しく健康な体をサポートするために、血管の健康に必要なことは、ポイントは大きく分けて2つあります。

ファイトケミカルは、この2点を確実に効果を発揮してくれます。

  1. 血管を詰まらせることのないサラサラな血液を作ること。
  2. 血管自体の老化をきちんと防ぐこと。

ファイトケミカルによる予防と改善

  • 血栓を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を予防
    たまねぎのケルセチンによる血液サラサラ効果はすでにおなじみですね。
    ファイトケミカルには血小板の凝集を抑制する効果があり、血液を固まりにくくし、血栓ができるのを抑制する効果があるのです。
    血液サラサラが維持できれば、脳梗塞や心筋梗塞を予防できます。
  • 血栓を防ぎ、心筋梗塞や脳梗塞を予防する
    ケルセチン…たまねぎ
    イソチオシアネート…大根、わさび、キャベツ
    トリスルフィッド、アホエン、ジチイン…にんにく
    血栓予防のたまねぎなど、ファイトケミカルと含まれる野菜1日1回は食べてほしい野菜です。
  • 悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防
    動脈を劣化させる要因の一つに悪玉コレステロールの酸化があり、酸化してしまうと動脈内に沈着して、血管が狭くなるなど動脈硬化の原因になります。
    予防するためにもファイトケミカルは効果抜群です。
  • 悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化を予防
    予防になるファイトケミカルが含まれる野菜で、悪玉コレステロールの酸化を防ぎましょう。
    リコペン…トマト
    セサミン…ごま
    アリシン…にんにく
    β-カロテン…にんじん、かぼちゃ

ファイトケミカルの効果6:アンチエイジング作用

高い抗酸化力で体のサビを防ぐことが、アンチエイジングにおける大前提です。

健康で若々しく要介護にはなりたくない…という方!

とにかく脳と目、骨の老化を防ぐことも非常に重要です。

私の母は変形性膝関節症になり、歩けなくなってから様々な病気を発症するようになりました、

いくら体が健康でも、骨粗鬆症になって骨折しようものなら寝たきり生活となって、QOL(クオリティーオブライフ)も低くなってしまいます。

認知症になれば要介護は免れません。

ファイトケミカルにはそれぞれに効果的なものがあるので、積極的に摂って「アンチエイジング」を心がけましょう。

老化を防ぐ代表的なファイトケミカル

  • フェルラ酸…強力な抗酸化作用
    アルツハイマー病と含む、認知症を改善する効果あり、玄米やコーヒーに含まれています。
  • フィセチン…記憶力を高めるポリフェノールの一種です。
    記憶力を高め、アルツハイマー病の発症を予防する効果があり、いちごに多く含まれています。
  • レスベラトロール…若返りのファイトケミカルとして注目
    脳機能を改善して、認知症のリスクを下げ。赤ワインや赤ブドウの皮、ピーナッツの渋皮に含まれています。
  • テアフラビン…ポリフェノールの一種
    加齢にともなう認知症の予防に効果を発揮し、紅茶やウーロン茶に多く含まれています。
  • カルノシン酸…ポリフェノールの一種
    記憶力を改善し、脳虚血による神経細胞死を予防する効果があり、ローズマリーはセージといったハーブに含まれています。
  • ケンペロール…ポリフェノールの一種
    骨粗鬆症を予防する働きのほか、高い抗酸化作用や抗炎症作用を併せ持ち、にらやブロッコリー、赤たまねぎ、りんごなどに含まれています。
  • イソフラボン…大豆のポリフェノールの一種
    骨粗鬆症の予防作用があり、女性ホルモンと似た働きがあり、大豆製品に含まれています。

ファイトケミカルの効果7:ダイエット作用

ファイトケミカルはさまざまな健康効果はもちろん、痩せる効果も持ち合わせています。

ダイエットにおすすめの野菜には、体脂肪の燃焼をうながし、メタボ改善、美容にも効果的なファイトケミカルが利用できます。

  • ジンゲロール…生姜 など
    生の生姜に含まれるジンゲロールには痩せる作用があり、体脂肪の燃焼を促進します。
    交感神経の活性化によりエネルギー代謝がアップ!
  • 13-oxo-ODA(13-オキソ-9、11-オクタデカジエン酸…トマト など
    トマトに含まれる「13-oxo-ODA(13-オキソ-9、11-オクタデカジエン酸)」には、脂肪を代謝するために必要な酵素を活性化する遺伝子のスイッチを入れる働きがあります。
    中性脂肪を下げて、脂肪肝の改善にも有効。
  • アリシン…にんにく など
    にんにくの香り成分であるアリシンとビタミンB1が結合して生じるアリチアミンと、アリシンが分解されて生じるジアリルジスルフィドになり、この2つの成分に、体脂肪の分解を燃焼を促進するノルアドレナリンの分泌を誘導する働きがあります。
  • カプサイシン…唐辛子 など
    辛味成分の一つであるカプサイシンが副腎からのアドレナリンの放出を促進して体脂肪の燃焼をうながし、代謝力を高めてくれます。

メタボリックシンドロームは糖尿病や高血圧などさまざまな病気の諸悪の根源!

しかし、無理な食事制限は長続きしないので、ダイエット作用のあるファイトケミカルを積極的に摂ることが、健康的かつ美しく痩せるための近道といえます。



ファイトケミカルの効果8:ストレス緩和作用

現代を生きる私たちにとって、知らず知らずのうちに蓄積されていくストレスのケアはとても重要です。

ストレス過多になってしまうと、精神的不安や不眠をはじめ、胃痛や胃もたれ、片頭痛を招く人もいます。

また自律神経が乱れてイライラしたり、ホルモンバランスや代謝にも悪影響を及ぼすことにもなりかねません。

精神的不安を取り除き、不眠や頭痛の改善にもファイトケミカルが利用できます。

  • α-ピネン…春菊・みょうが など
    香気成分であるα-ピネンには大脳皮質を刺激し、ストレスを緩和する作用があり、胃腸の働きを良くして、胃もたれや消化不良の解消にもなります。
  • アピイン…パセリ・セロリ など
    ポリフェノールの一種であるアピインには、過敏な神経を和らげる神経の鎮静作用だけでなく、抗不安作用や精神安定作用もあります。
  • セダノライド…セロリ など
    セロリには、パセリと同じアピインのほか、抗炎症作用のあるセダノライドも含み、ストレスによる頭痛などを和らげてくれます。

神経を和らげる鎮静作用や抗不安作用がある野菜を利用して、薬に頼るのではなく、まずは野菜から活用してみましょう。

野菜のファイトケミカルの代表的な8つの効果や、それを含む野菜を紹介してきました。

生活習慣病予防と改善に役立て、病に困っている方は、ファイトケミカルを意識した食事を心がけてみてください。

きっと数か月後には、活力みなぎり、心身共に変わった自分がいると思います。

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【「和漢膳料理研究家」女子栄養大学にて食生活指導士・漢方養生士・中医薬膳士・防災士・ペット食育士】 生涯学習コーディネーターとして、学校支援地域本部事業や成人の学習支援に参加し、生涯学習の振興発展に寄与することを目的とする自治体に登録し、公共地域の活動に参加しています。講演内容は、子どもの食育・成人の療養食・防災食・動物の「食」について、企業相談や地方講演を行っています。

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“漢方養生士・中医薬膳師・女子栄養大学食生活指導士”として「薬膳・ローフード・スローフードの健康的な食事」
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